夜ふけの絵本ラジオ
【夜ふけの絵本ラジオ】最終話:『わたしはしらない』

【夜ふけの絵本ラジオ】最終話:『わたしはしらない』

こんばんは。北欧、暮らしの道具店です。

「よふけのえほんラジオ」の時間です。

東京・高円寺にある絵本のお店「えほんやるすばんばんするかいしゃ」を営む荒木健太さんに、あまり何も起こらないけどホッとするお話を選んでもらい、声でお届けするポッドキャストです。

せわしない毎日を心地よくしめくくる、夜じかんのおともにでもなればうれしいです。



今夜のお話は
『わたしはしらない』


▲まつむらまいこ作絵『わたしはしらない』(果林社)

今夜は、まつむらまいこ作絵『わたしはしらない』というお話をお届けします。

『わたしはしらない』本編より一部抜粋

わたしはしらない。

まどのそとを とおりすぎた

モンキチョウの じゅみょうを

とおくで かんだかく なく

とりの なまえを

しらないあいだに かおを だした

めが さかせる はなを

・・・わたしはしらない。


荒木さん:
「最近、私は『認識』が趣味になっていて、なにかにつけて『認識』ばっかりしています。ほとんどの場合、理解もしないで、そのままにしておきます。わからないことを『認識』しておくだけです。

では、ここからが本題です。まず、この絵本を読んでみて下さい。そのあとで、「わたしはしらない」という言葉に着目してみて下さい」

荒木さん:
「よくよく考えると、不思議なフレーズです。誰にも何も聞かれていないのに、冒頭から『わたしはしらない』と言っています。ということは、たぶん、この人の頭の中の言葉です。本来、現象や事象に出会って初めて、『私は知らない』と認識するはずです。まだ出会っていないものについては、『知らない』ということすら認識できません。そう考えると、『知らない』に出会うためには、何かに出会わなければならない。何もしなかったら、『知らない』にも出会えません。つまり、この人は動いているわけです。日々を生きているのです。そして、日々いろいろなものに出会い、知らないことが無限にあることを知る。でも、その一つ一つを知りたい、理解したい、というわけでもない。だから、きっと途方に暮れずに済む。もしかしたら、これは『知らないことを認識する』本でもあるのかもしれません。とはいえ、私は『認識』が趣味なので、まったく説得力がありません」


photo:本多康司


もくじ

荒木健太

東京・高円寺にある絵本専門の本屋「えほんやるすばんばんするかいしゃ」店主。店頭には古本・新本の絵本があり、作家の原画展示も行うほか、「果林社」の屋号で絵本も出版している。

166-0003 東京都杉並区高円寺南3-44-18
14:00-20:00 ※火・水定休

Instagram:@ehonya_rusuban